9時41分の謎

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アップル社の米国登録意匠で前々から疑問に感じていたのが、午前9時41分(または42分)という時刻表示です。
初めて気づいたのが、USPTOのジョブズの追悼展示会での話。
アイフォンを模したパネルの時刻表示が全て午前9時41分になっていました(↓)。

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彼が息をひきとった時刻かと思ったんですが、彼の生前に発行された登録公報にもこの時刻が表れています。
カタログの写真でも同じ時刻でした。
一体なぜ?
そこで調べてみました。
この午前9時41分(42分)という時刻ですが、“Secret Magic Time”と言うらしいです。
ジョブズによる新製品発表会は、午前9時開始午前11時終了で、各部40分ずつの3部構成となっています。
第1部は言葉だけで説明して引っ張ります。
そして聴衆を焦らしに焦らして、第2部の冒頭で新製品の写真を発表するんです。
そのタイミングに合わせて、この時刻表示になっているとのこと。
1分(2分)は誤差を考慮してるそうです。
細かっ!
ということは、アップル社は、プレゼン資料の画像をベースに米国意匠出願をしてるわけですね。
謎が1つ解けました。

千三つ

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清涼飲料水は千三つの世界と言われています。
1年間に1000個以上の清涼飲料水が新発売となりますが、1年後に生き残っているのは僅かに3個だからです。
そんな激戦の中、30年以上も定番として売れ続けているツワモノがいます。
サントリーのウーロン茶です。
そのサントリーのウーロン茶ですが、2010年にペットボトルの形状を新たにしました。
これだけの重要商品です。
絶対に意匠登録しているはず。
そう思ってIPDLを検索したら、何と15個も見つけました(↑ クリックすると大きくなります)。
部分意匠や関連意匠を駆使した堂々たる布陣です(関連意匠は赤枠で囲っています)。
ブランドイメージを大事にするサントリーの本気度を、登録意匠を通じて垣間見ましたね。

追伸
ちなみに物品名は全て「包装用瓶」です。
登録番号を全て記載しようと思ったんですが、数が多すぎて挫折しました。
①が1395323号です。
②以降は、1395232号の周辺を探して下さい(投げやりですいません)。
なお、商品写真はサントリー社のHPから拝借しました。

豆腐と納豆、そして意匠

今回は大豆つながりで、豆腐と納豆の包装用容器の意匠です。
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↑は、男前豆腐店の「豆腐用包装用容器」の登録意匠です(1296808号)。
一番左が商品、真ん中の2図が意匠図面です。
単純に奇を衒っただけではなく、豆腐を均一に冷やし固めることを可能にした実利的なデザインでもあります。
ちなみに「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」は、商標として登録されています(4873551号、上の図の一番右)。
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また、男前豆腐店の社長ですが、二重底の「包装用容器」も創作しています↑(1234406号)。
豆腐の水分が、二重底の部分に垂れる仕掛けです。
自然に水切りすることで、豆腐の味が良くなります。
キャッチフレーズは「水もしたたる良い豆腐」!
食べる前にお腹一杯ですね。
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↑は、ミツカンの納豆用の「包装容器」の登録意匠です(1371529号、1371530号、1408430号)。
収容スペースが、納豆用の大きい部分と、ゼリー状タレ用の小さい部分とに分かれています。
小袋に入ったタレを廃止したことにより、食事どきにテーブルを汚す心配を解消しました。
また、小袋を廃止して、エコも実現しています。
ついでに、納豆の量も減らすことに成功しているのもポイントだったりするのでしょうか?

男前豆腐店も、ミツカンも、それぞれの業界では後発組です。
ところが、男前豆腐店は上場を果たし、ミツカンは業界2位に昇りました。
多くの老舗メーカーが価格競争で淘汰される中、彼らは高価格・高品質の独自路線を選択しました。
その独自路線を支えたのが、登録意匠を駆使した知財戦略だったわけです。
成功の陰に意匠あり、ですね!

美しい基板

アップルでのエピソードです。
技術者がジョブズに基板の設計案を見せました。
そしたら、ジョブズは「美しくない」と却下しました。
技術者は「基板なんて誰も見ない」と抗議したら、ジョブズは「名工は見えないところも手を抜かない」とダメ出ししました。
その結果、最終的にできあがった基板は見た目もすっきりしており、チェックも容易となり、不良品が減りましたとさ。
ジョブズのデザインへの拘りにまつわる有名なエピソードですね。
さすが!と唸ると同時に、美しい基板って何よ?と疑問を感じずにはいられません。
IPDLで検索すると、結構な数の基板が登録されています。
その道の人には分かる機能美を備えているはずですが、ボクのような素人にはサッパリです。
ただ、出願の裏には色んな理由があったのでしょう。
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↑は登録第1276083号「回路基板」です。
スロットマシーン用の基板です。
特に創作上の特徴もないので、ただ単純に出願しただけだと思います。
ギャンブルの世界では、違法製造の基板が流通することも少なくないので、こんな登録をしたのでしょう。

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↑は登録第1303363号「プリント基板」です。
【意匠に係る物品の説明】には「インダクター素子を斜めにすることがデザイン的な特徴を有するものである」とあります。
そして、その特徴部分を、部分意匠として登録しています(上図の赤枠部分です。左下図はその拡大図となっています)。
そう言えば、素子を斜めに配置した基板って、あまり見ないような気もしますね。
ただ、ボクは詳しくないので、残念ながら基板の登録例を存分に楽しむことができません。
基板を愛する人、基板設計一筋の人には、基板の美しさが分かるようですが。
恐らくレイアウトから「これなら熱がこもらないな」と直感し、それが美感を喚起させるんでしょうね。
勉強をして出直したい気分です。

ハウス食品の登録意匠

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今回は、ハウス食品のプライムシリーズを紹介しましょう(↑1278431号及び1278996号「包装用箱」)。
ハウス食品がカレールウを販売して40年目にして、初のモデルチェンジです。

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カレールウについての消費者最大の不満は
「トレーを開封すると、全て使い切らなきゃいけない」
という点にあります。
あの巨大な長方形は、大家族が普通だった時代に考案されたものです。
一人暮らしには確かにきつい。
そこでハウス食品が考えたのが、この円形のトレーです(↑1283887号「包装用容器」)。
一皿分を切り取って使えるので、一人暮らしに嬉しい配慮となっています。
また、大家族にも対応して、まとめての開封もできます。

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ちなみに、他にも
「外箱が邪魔。かといって捨てると、作り方がわからなくなる」
との不満もあります。
そこで、プライムシリーズの箱は、2つあるトレーの1つを使った場合、ペシャンコに潰れるように配慮されています。
ただ、こちらは意匠登録なし。
特許出願だけでした(↑特開2007-099296「可変容積体箱」)。

ハウス食品は、カレールウの分野で圧倒的なシェアを誇り、業界で断トツ1位です。
これというのも、常に時代の変化を読み取って、それを商品開発に投影してきたからでしょう。
今回紹介した登録意匠は、そんなハウス食品のやる気を感じさせるものですね。

鉄ちゃん的登録意匠の世界 終電

さて、最終回です。
今日は、世界における鉄道車両の登録意匠を紹介します。

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↑は、フランスのアルストム社の登録意匠です。
AGV(次世代高速鉄道車両)のデザインです。
ヨーロッパだけでなく、アメリカ、中国、韓国、そしてここ日本でも出願・登録をしています。
グローバルですね!
でも、フランス企業にとって、世界中に出願するのは当然かも。
ヨーロッパでは、鉄道は国境をまたいで走っています。
また、世界中で高速鉄道計画が持ち上がっています。
なのに、日本は、島国根性が災いして、出遅れてしまっているのです。

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そう言えば、アメリカの高速鉄道計画では、日本は中国相手に苦戦しました。
中国に技術を供与したのは当の日本だから、皮肉な話です。
その中国の鉄道車両メーカーですが、中国では意匠登録をしています(↑)。
日本の新幹線の面影があります。
トンネル・ドンの対策をしなくて良い中国では、ここまで先細にする必要はありません。
にもかかわらず、ここまで先細なのは、日本の技術をベースに設計されているからでしょう。
先んじて日本が中国で出願しておけば、技術流出を防げたのに。
これからは世界ですよ、日本の鉄道車両メーカーさん!

というわけで、「鉄ちゃん的登録意匠の世界」は今回で最終回です。
最後までのご乗車、どうもありがとうございました。
鉄道車両関係で面白い登録意匠を発見したら、臨時列車をご案内しますので、そのときはまた宜しくお願い致します。

鉄ちゃん的登録意匠の世界 2号車

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今回は新幹線です。
新幹線、キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!
男の子の永遠の憧れですね。

さて、そんな新幹線をIPDLで検索すると、結構登録されています。
JR九州の「つばめ」、JR東海の「のぞみ」、そしてJR東日本の「はやぶさ」等々。
先細のデザインが多いですね。
これ、空気抵抗を減らすためだけじゃなく、騒音対策でもあります。
新幹線がトンネルに進入した際、逆側のトンネル出口から大きな衝撃音が飛び出します。
進入した新幹線により、トンネル内部の空気が圧縮されるからです。
これをトンネル・ドンと言います。
そんなトンネル・ドンを軽減するために、先細スタイルになっているわけです。
山陽新幹線の場合、全走行区間の50パーセントがトンネルなので、騒音対策は重要です。

ちなみに、どんどん先細になっている新幹線ですが、ここで限界に達しました。
無闇に先細にした場合、乗客用スペースが狭くなり、定員が減るからです。
「はやぶさ」で限界でしょうね。

ところで、日本の鉄道会社さんですが、外国には出願していないようです。
ドメスティックな産業だからでしょうか?
新幹線のそっくりさんが中国で走っているのを見ると、ちょっと心配になりますね。
日本もどんどん外国に出願しないと!
というわけで、次回の「鉄ちゃん的登録意匠の世界 終電」では、海外の鉄道車両の登録意匠に触れたいと思います。
お楽しみに!

鉄ちゃん的登録意匠の世界 1号車

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今回は電車の登録意匠のお話。
あ、ちなみにツカドンは鉄ちゃんじゃないですよ。

さて、電車のデザインですが、成熟しきっていますね。
特にコミュータートレインの分野では、斬新なデザインは絶望的かも。
そんな中、ツカドンが見つけたのが近畿車輛の登録意匠でした。

これ、ドバイに輸出するための車両です。
「ゆりかもめ」みたいに、無人運転です。
そして、ドバイならではのデザインとなっています。
例えば、車両の先頭部分。
斜めになっていて、車両の中から斜め上方を見渡せるようになっています。
これは空気抵抗を減らすためではなく、乗客が高層ビルを見るための工夫です。
流石は観光都市!
というわけで、先頭部分を部分意匠として登録です(1376427号)。

また、この車両、バブリーなお国柄を反映して、内装も凝っています。
そこで、客室を輪切りにして、部分意匠で登録しちゃいました(1328224号、1328255号)。
なお、※マークで示す部分は、女性及び子供専用スペースです。
イスラム圏ならではですね。

ちなみにこの車両、他にもデザインの特徴があります。
例えば天面部。
電車の場合、乗客から見えない天面部は適当なデザインです。
けど、この車両の天面部は、すっきりとした流麗なデザインとなっており、さらに綺麗に塗装されています。
これは、高層ビルからの眺めを害さないための工夫です。
ただ、残念ながら、天面部の部分意匠は登録されていませんでした。

さて、次回の「鉄ちゃん的登録意匠の世界 2号車」では、新幹線関係の登録意匠を紹介してみたいと思います。
お楽しみに!

部品の意匠

ニコンですが、地震の影響で部品の調達が困難になったので、デジカメの発売を中止するそうです。
デジカメ市場は製品サイクルが短いので、部品供給の回復を待って再販売するより、次期製品の開発に注力した方が得策だとか。
ということは、デジカメの部品を意匠登録さえしとけば、競合他社のデジカメを販売中止に追い込めるわけですね。
これ、部品の意匠の出願をプッシュする営業トークに使えそう。
覚えとこう。

ヒット商品と意匠登録

最近の売れ筋商品ですが、意匠登録はされてるのでしょうか?
お客様との雑談のネタにもなるし、ちょっと調べてみました。
そしたら、結構登録されてるもんですね。
今回は、『日経トレンディー』誌が選ぶ2010年度ヒット商品から紹介してみたいと思います。

■アイフォン(「携帯用情報端末機」・登録第1383724号・アップル)

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2010年度ヒット商品第1位です。
もはや説明不要。
全体意匠だけでなく、部分意匠や画像の意匠も含めて、がっちりと権利を押さえています。

■ポケットドルツ(「電動歯ブラシ」・登録第140004号・パナソニック)

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2010年度ヒット商品第6位です。
コスメを持ち歩くような感覚で持ち運びできるとのコンセプトで開発された携帯用音波歯ブラシです。
ポーチに入るサイズ、オシャレなデザイン、モーターの作動音がしないのでどこでも使える便利さ・・・これがヒットの要因だとか。

■チンしてコンガリ魚焼パック(「電子レンジ用加熱調理用具」・登録1409101第号・小林製薬)

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2010年度ヒット商品第8位です。
魚グリルの後片付けが不要で、1人暮らしのライフスタイルに最適ということで、当初は若手をターゲットにした商品でした。
ところが、安心して調理できるということで、お年寄りにもヒット。
結果、販売から約1年で、出荷ベースで約7億円の売上、出荷数440万個をマークしたヒット商品です。

■ハリナックス(「ステープラー」・登録第1398926号・コクヨ)

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2010年度ヒット商品第9位です。
針を使わずに紙を綴じる不思議なホッチキスです。
そのまんまのネーミングですね。
針がないのでエコ、安全、リサイクルに便利、速攻でシュレッダーにかけることが可能・・・なるほど、便利なアイテムです。
ただ、針を使わないホッチキスは、実は10年前からありました。
ハリナックスがヒットしたのは、技術改良もさることながら、巧みな宣伝によりエコ重視の波に乗れた点が大きいようです。